僕がイーノックカウから持ってきたものって、すっごくいっぱいあったでしょ?
だから何が入ってるかを簡単に見ただけで裏の倉庫に入れちゃったもんだから、今日はお母さんやお姉ちゃんたちとそれをもういっぺんゆっくりと調べる事にしたんだ。
「改めて見ると、本当に多いわね」
お家に帰ってきた時はお父さんとお兄ちゃんたちが倉庫にしまってくれたもんだから、僕たちはおっきな馬車にのっかってるとこだけしか見てないよね。
だからお母さんはその時、いっぱいもらって来たねってくらいにしか考えてなかったんだって。
でも僕んちの倉庫に積み上げてあるのを見てみたら、本当にすっごく多かったもんだからちょっとびっくりしちゃったみたいなんだ。
「あの荷馬車、本当におっきかったもんね」
「ええ。そうね。でもこんなにもあるとなると、早目に仕分けしておかないとダメね」
お母さんは掘ってたに手を当てながら、そう言っておっきなため息をついたんだよね。
でもさ、僕が貰ってきたお土産はちゃんと倉庫の中に入ってるでしょ?
だから僕、なんでそんなに早く仕分けしないとダメなのか、全然解んなかったんだ。
「なんで? お父さんたち、きれいに入れてくれたよ」
「だってこの荷物だけで倉庫を占領されてしまったら、森で狩ってきた獲物の素材を入れる場所が無くなってしまうもの」
そう言えばこの倉庫って、お父さんやお母さん、それにお兄ちゃんちゃお姉ちゃんたちが森に入って狩って来た獲物の素材を入れとくとこだっけ。
そう思ってもういっぺん見てみると、おっきなブラウンボアの素材を全部入れても大丈夫なくらいおっきいはずの倉庫の中がいっぱいになっちゃってるんだもん。
これだと確かにちょっと獲物を買って来ただけで、入れるとこが無くて困っちゃうかも?
「この間見た時は日持ちのするものばかりだったから、とりあえず手前にあるものから量を調べていきましょう」
でもさ、一度に全部を調べるなんて事できないでしょ?
だからとりあえず手前っ側に置いてあるのを調べてって、それを順番にご近所さんに配ってく事にしたんだ。
みんなでお土産を調べてたらね、お母さんがなんか見つけたみたいで僕に声を掛けてきたんだよね。
「ねぇ、ルディーン。この袋に入っている豆は何なの?」
「まめ?」
「ええ。袋にうちの村の印を書いた布が縫い付けてあるって事は、これってロルフさんって人から貰ったものじゃなく、ルディーンが買ったものなんでしょ?」
お母さんがそう言うもんだから、僕とお姉ちゃんは何の事だろうって見に行ったんだよ?
そしたらそこに置いてある袋には、クリーム色のまぁるいおまめさんがすっごくいっぱい入ってたんだ。
「何これ? こんなにいっぱいあるって事は種じゃないよね?」
「ルディーンが買って来たんだから、きっとお菓子になる豆なんだよ。そうだよね? ルディーン」
レーア姉ちゃんとキャリーナ姉ちゃんは、どうやらそのおまめさんの事を知らないみたい。
でもカリーナ姉ちゃんは僕が買って来たんだから、これもきっとお菓子になるんだよって僕に聞いてきたんだよね。
「そっか。大豆を買って来たの、すっかり忘れてた」
「だいず? これ、だいずっていうの? それでこれは、どんなお菓子になるの?」
「お菓子じゃないよ。あっ違った、一応お菓子にもなるんだけど、これは味噌とかお醤油ってのになるんだよ」
僕ね、イーノックカウのお豆屋さんで大豆が売ってるのを見つけたんだ。
だからそれを帰りに持って帰るからってお店の人に頼んどいたんだけど、ギルドカードでお金を払っておいたからなのかちゃんと帰りの荷馬車に乗っけてくれてたみたいなんだよね。
「やっぱりルディーンが買って来たものなのね? でも、なんで忘れていたの?」
「あのね、見つけた時にお金払っといたんだけど、帰るのが急に決まったもんだから捕りに行くのを忘れてたんだ」
「なるほど。でもこれがここにあるって事はきっと、ロルフさんや錬金術ギルドのギルドマスターさんがお土産を用意する時に気が付いて一緒にのせてくれたんでしょうね」
そっか、お店のおじさんじゃなくって、ロルフさんたちが乗っけてくれたんだね。
「近いうちに家族みんなでイーノックカウに行く事になるんだから、その時は忘れずにお礼を言うのよ?」
「うん! 僕、ちゃんとロルフさんやバーリマンさんにありがとうって言うよ」
なんかして貰ったら、ちゃんとありがとうって言わないとダメだもん。
僕は今度こそ忘れないぞ! ってふんすと気合を入れてたんだけど、
「ねぇ、ルディーン。そのまめ、お菓子にもなるんでしょ? どんなのになるの? 作って、作って!」
さっき大豆はお菓子にもなるんだよって教えちゃったもんだから、キャリーナ姉ちゃんが作ってよって言いながら僕の手をぶんぶん振ってくるんだよね。
でも今は、お土産がどれくらいあるのかを見てる途中でしょ?
だからすぐには作れないよね。
「ダメだよ。だって今はお土産がどんだけあるか見てるとこだもん」
「え〜、お母さん。いいでしょ? 新しいお菓子、私食べたい」
だから僕、キャリーナ姉ちゃんに今はダメだよって言ったんだ。
そしたらお姉ちゃんはお母さんに、お菓子食べたいからいいでしょ? って。
でもきっとお母さんはダメって……、
「そうねぇ。お土産は日持ちするものばかりだし、狩りも明日行くって訳じゃないから休憩が手お菓子を作るのもいいかもしれないわね」
「いいの? やったぁ!」
ええっ、いいの!?
これには僕、すっごくびっくりしたんだよね。
だってお母さんはさっき、早くご近所さんたちに配んないとダメって言ってたもん。
だから僕、ほんとにいいの? って聞いてみたんだよ?
「柔らかい豆をスライスしたものをクッキーの上に乗せて焼いたものは見た事がるけど、こんな硬い豆を使ったお菓子なんて私も聞いた事無いもの。どんなお菓子ができるのか、お母さんもちょっと興味があるのよね」
「そうだよね。お母さんも食べたいよね」
そしたらお母さんも、大豆がお菓子になるって聞いてどんなものができるのか食べてみたくなったんだって。
それを聞いたキャリーナ姉ちゃんは大喜び。
「そうだよね。お母さんもこの豆で作ったお菓子、食べたいよね」
「えっと、私も食べてみたいかな。こんな硬い豆、どんなふうになるのか気に丸もの」
その上レーア姉ちゃんまで一緒になって、大豆で作ったお菓子を食べてみたいだなんて言い出すんだもん。
もうダメなんて言えないよね。
「うん。お母さんがいいって言うんだったらいいよ」
「お菓子作ってくれるの? やったぁ!」
ホントはお醤油を一番最初に作ろうって思ってたけど、みんながこんなに食べたいって言うんだからお菓子を作んないとね。
そう思った僕は横で嬉しそうにぴょんぴょんはねてるキャリーナ姉ちゃんを見ながら、どんなお菓子を作ろっかなぁって考えてたんだ。
読んで頂いてあるがとうございます。
大豆、お店でお金まで払って来たのに、ルディーン君だけでなく私も読み直すまですっかり忘れていました。
いやぁ、長いお休みをもらって読み直しておいて本当によかったです。
危うく次にイーノックカウに行った時、ウナギの存在を思い出して大慌てするところでしたから。
流石にイーノックカウの家で醤油を作るなんて事できるはずがないですから、今はちょっとだけほっとしていますw